フィンランドの宇宙卵

カレワラ物語―フィンランドの神々 (岩波少年文庫 587)
リョンロート 著、小泉 保 (編集,・翻訳) 川島 健太郎 (イラスト)

フィンランドの民族叙事詩として、医師エリアス・リョンロート(Elias Lönnrot, 1802年 ~1884年)によってまとめられた『カレワラ』(Kalevala、カレヴァラ)。

シベリウスの交響曲をはじめ、絵画、文学など後生に与えた影響は絶大で、フィンランドにおける至高の古典と言われています。

少し時が過ぎると、一羽の鴨が羽ばたいて飛んできた。
東を飛びかすめ、西を舞いめぐりながら巣をかける場所をさがしていた。
そのとき水の母なる大気の乙女は海の中から膝を押し上げた。
かわいい鴨は水の母の膝を草の生えた丘と思ってそこへ降り立つと巣を作り始め、
六つの金色の卵を産みつけた。
大気の乙女は膝が熱くなり、肌が焦げるのかと感じて思わず足を引き寄せた。
彼女が体をゆさぶったので、卵は水の中へ転げ落ち、砕けて破片となった。

卵の下の部分は下にある大地となり、
卵の上の部分は上にある大空となった。
黄味の上のほうは太陽となって輝き、
白味の上のほうは月となって照らした。
卵の中のまだらなもの、それは星となって大空へ、
卵の中の黒いもの、それは天空の雲となった。
(第一章二三三〜二四四)

「1830年代に、医師であるリョンロートがカレリア地方の農村をたずね歩いて伝承詩を聞き取り、集めた。」とのこと。

残念ながら、詩とともに伝承された図像は無いようです・・・ので、アイキャッチ画像は、先の本に掲載された川島健太郎氏のイラストをと思ったのですが、現地の映画のチラシがあり、シンボルとしてはこちらを選択しています。


最近のフィンランド映画として「Kalevala – Uusi aika 2013 Directed by Jari Halonen」の情報に遭遇しました。

「フィンランドの民族叙事詩カレヴァラに基づいた物語」とのことです。予告編がありましたので雰囲気だけでも・・・

ちなみに、Google検索「Kalevala」では「大気の乙女が卵を温めている図像」には遭遇できませんでしたが、ロシアの検索エンジンYandexで「Kalevala」を検索すると、えぐいというか、あくが強いというか・・・

ここはひとつクラッシクKalevalaで落ち着いたひとときを。