エジプトの宇宙卵

『世界シンボル辞典・クーパー 原本出版1978・日本語翻訳 岩崎 宗治、鈴木 繁夫・出版1992三省堂』に「Egg 卵」という項目がありました。

 

「宇宙の始源としての〈宇宙卵〉は、エジプト→図97・・・」と紹介された図を拡大しますと。

図97(典拠は記述なし)

カラーのカードも有りました。が、どなたが作成したのか?

PTAH FASHIONING THE EGG OF THE WORLD UPON A POTTER’S WHEEL, WHICH WORKS WHIS HIS FOOTS.

「古代エジプト人にとって、神プタハは父なる創造主、〈偉大なる工匠〉である。この図は、プタハがろくろで世界卵を作っているところ。プタハ自身の霊がこめられたこの卵は、やはりプタハの創造した太陽卵及び月卵と一組をなす。

古代エジプトの都市メンフィスでは、プタハを世界創造の神とする「メンフィス神学」という独自の神話体系が編集されたそうです。BC3100~2890第一王朝時代ナルメル王(メネス王)がエジプト全土を統一して都をメンフィスと定めたとのこと。

その典拠はというと・・・「シャバカストーン」・・・1799年ナポレオンの軍隊が発見した「ロゼッタストーン」は、日本でも知れ渡っていますが、「シャバカストーン」は日本語ウィキにはまだないのでの認知度は低いのかもしれません

英語ウィキ「Shabaka Stone」には詳しい解説がありました。

もともとは紀元前8世紀後半(第25王朝時代)にメンフィスのプタハの大寺院に永続的な記念碑として建てられましたが、石はある時点で(理由は不明ですが)アレクサンドリアに移されました。そこから、海軍艦艇によってイギリスに輸送され、1805年に大英博物館に寄付されたそうです。

「石は石臼として使用された可能性が高く、象形文字に損傷を与え」とのこと、「メンフィス神学」も衰退し、アレクサンドリアで、誰かが石臼にしちゃったのかもしれませんね。

By Markh at en.wikipedia, CC BY 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=10570858

詳しい解読のレポートはこちら

・・・つづく


さて、最近、「プタハがろくろで世界卵を作っているところ」を別の視点で表した驚くべき彫刻が日本でも公開されました。

創造の卵を持つスカラベとして表現された原初の神プタハ
第3中間期・第25王朝(クシュ王朝)、前746〜前655年頃
© Staatliche Museen zu Berlin
Ägyptisches Museum und Papyrussammlung Berlin / J. Liepe

江戸東京博ほかで開催「国立ベルリン・エジプト博物館所蔵 古代エジプト展 天地創造の神話

左の画像は、ドイツの博物館データーベースから拝借したものです。このデータベースには彫刻の詳細説明があります。

石灰石43 x 25.5 x 17 cmだそうで、ドイツ語のタイトルは「Zwei einander umarmende Skarabäen mit Menschenkopf(人間の頭が互いに抱き合っている2つのスカラベ)」

「宇宙卵」とは言い難いところですが・・・次の動画を見ると、スカラベが「神がかった卵型創造者」とは言えそうです。