マリ共和国の宇宙卵(アフリカ)
この本は、紀伊国屋から新書版1965年・復刻版1994年・新装版2013年と出版されています。
著者の文化人類学者阿部年晴氏(1938~2016)の東京大学大学院人類学専攻修士課での1963年論文「アフリカの創世神話」が新書になって出版されたそうです。これだけ再版されるのは名著の証ですね。
詳しくは、日本の人類学界での伝説である「阿部先生とお酒」という話題もある【小田亮先生(首都大学東京教授/社会人類学)の「阿部年晴先生をしのぶ─阿部先生の仕事と人」】にありました。
「アフリカの創世神話 阿部 年晴 著 出版1994 精選復刻紀伊国屋新書」第4章 人間の条件ードゴン族P89からP116に渡って、「・・・ここでは様々な民族学者が採集した神話の中から幾つかの例をあげることにする」として、神話AからEまでの5つの例があがっています。
ここでは「宇宙卵」が語られている神話のさわりを。(ウィキの「ドゴン族の神話」には、この本からの引用が多数あります)
神話A
宇宙は創造神アンマの言葉から生じた。アンマはキゼ・ウジ(最も小さいものと言う意味の語で、ポーという穀物のことを指している)を創造し、キゼ・ウジは次第に振幅を増しながら7度振動して世界の卵を生じさせた。
原初の子宮である、この宇宙の卵に中には2つの胎盤があり、おのおのが一組の双子のノモンの種を宿していた。
神話B
物質の振動および全体としての宇宙の運動という二つの観念がこの神話の宇宙論を支えている。
原初に、神(アンマ)は《世界の卵》の中にもろもろの事物の種子を置いた。生命の最初の胚種 は、栽培植物のもっとも小さい種子 (フォニオ)によって象徴される。この種子は内部の振動によ ってしだいに広がり、遂には宇宙の果てにまで達する。この展開・拡大の運動はらせん状の運動で あるともいわれ、あるいはまたジグザグ運動として表象されることもある。いずれにしてもこの運 動は双極の絶え間ない交替であり、生殖力の象徴である双極性を表現している。あらゆる存在の内部で行なわれている振動においてこの双極はつねに互いに支えあっているのである。物質は或る意味では小宇宙であり、その内部で行なわれる振動ないしらせん運動は宇宙の無限の展開を反映している。
さて《世界の卵》の中の胚種は振動によって、しだいに長くなる七本の枝に分かれる。これら七本の枝は人間の身体にもおのおのの対応物をもっている。それらはまた七つの主要な栽培植物の種子を象徴し ている。(図(1)(2)参照)。
「神話B」は「青い狐 ドゴンの宇宙哲学 マルセル・グリオール/ジェルメーヌ・ディティルラン 著 坂井 信三 翻訳 出版1986せりか書房」で詳しくあつかわれているようです。
概要を知るにはこちら「松岡正剛の千夜一夜1554夜 青い狐 ドゴンの宇宙哲学」がおすすめ。
1950年に、アフリカ学協会ジャーナル誌に掲載され、センセーションを引き起こした研究論文『スーダン原住民の伝承によるシリウス星系』を基にして、グリオール死後ディータレンにより1965年にフランスで出版されたのが、この「青い狐 Le renard pâle」です。
このセンセーションは、後年、「シリウスミステリー Sirius Mystery」( 知の起源-文明はシリウスから来た-)と呼ばれるようになりました。
魚の絵はドゴン族の御神体ノモンだそうです。青い狐とは西スーダン一体に野生している狐系の動物で神話の中に登場するユルグ(Yurugu)・・・つづく
「シリウスミステリー Sirius Mystery」余談
フランス国立科学研究センター (CNRS)
©CNRSimages-media-femis-CICTIRDオーディオビジュアル1999
こちらのサイトに「Sirius, the Dogon star」のドキュメントビデオがありました。(YouTubeのように埋込共有は不可)https://images.cnrs.fr/en/video/887
シリウス・パズルという2008年ビデオもありました。https://images.cnrs.fr/en/video/2008
ともあれ、続編が楽しみなSF映画のひとつです。予定は次のようになっているそうです。
WALT DISNEY STUDIOS MOTION PICTURES RELEASE SCHEDULE(全米公開日)から
- アバター2(仮) 2022年12月16日
- アバター3(仮) 2024年12月20日
- アバター4(仮) 2026年12月18日
- アバター5(仮) 2028年12月22日
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