中国の宇宙卵
中国の宇宙卵といえば、この本を思い出しました。
「ひょうたん漫遊録 記憶の中の地誌・中野美代子 著・出版1991 朝日新聞出版」
ひょうたんのある風景から
渾天説というのは、ごく大ざっぱにいえば、天地を水に浮かぶ鳥の卵にたとえたものだ。卵の殻(から)が天で、黄身が地である。そして、白身も半ば水である。つまり、球状の地が水に浮かび、それを天がぐるりととりまきながら、さらに天球自体が、水にプカプカ浮かんでいるというのである。
渾天説が、そのアナロジーとして鳥の卵を用いたことに、私の目は移る。1~2世紀、後漢の張衡の『渾儀注』が「渾天は鶏子(鶏卵)の如し」と説明したのをはじめとして、7世紀初めの『普書』や『隋書』の天文志など、いずれもこのアナロジーを踏襲する・・・
鶏卵といえば、中国の天地創造神話にも登場する。『三五略記』( 書)『芸文類聚』所引)によれば「天地が渾沌として鶏子の如くなりしに盤古その中に生まる」とある・・・
百度で『渾儀注』検索するといろいろヒットします。
Google翻訳による
漢王朝の張衡は「渾天儀への注釈」で次のように述べています。
「空全体が鶏(卵)のようです。
天体は弾丸のように丸く、鶏の真ん中で地球は黄色く、真ん中で一人暮らし、空は大きいが地球は小さい、空には水があり、空は地球を覆っている、そして殻は黄色です。天と地は宙に浮き、水に浮かんでいます。」
卵と盤古については、呉の徐整による『三五略記』(三国時代220~280に作られた神話集)にあり。
盤古の天地開闢と道家思想 孫 樹林 公開日 : 2014-05-07
三国時代の呉の徐整(注3)が,その著書『三五暦紀』『五運歴年紀』において盤古が天地を切り拓いたことを記述し、これは史料でもっとも早い記述となる。
天地が鶏卵のように混沌であり、盤古がその中で生まれ、一万八千歳である。天と地が分かれ、陽と清が天となり、陰と濁が地となる。盤古はその中におり、一日九回変化し、天地ほど神聖である。天が一日に一丈高まり、地が一日に一丈厚くなり、盤古も一日に一丈伸びる。このようにして、一万八千年を経ち,天が数極高くなり、地が数極深くなり、盤古はきわめて長く成長してきた。のちに、三皇が生まれた。数は一から始まり、三に立ち、五に成り、七に盛り、九に拠る。ゆえに、天と地の距離は九万里である。(『三五暦紀』)(B- 2)
中略
中国の民間で盤古に関する伝説がどれほどあり、いかなる時代にわたって伝えられてきたかについては、現段階はなお統計しえない。文献に記述される盤古神話に関する遺跡は,中国の各地に散在し,北方より南方の方がはるかに多い。関係の統計によると,広東省だけでもかつて191 軒の「盤古廟」が建てられ,その中の一部は瑤族が建てたものである。
「盤古」を中国語では「“盘古 Pángǔ” ピンイン」と表記するそうです・・・このキーワードで画像検索しますと、明の万暦35年(1607年)に完成したという「三才図会」ではおなじみの「盤古氏」のほか「巴を持ったPangu」の画像もヒットしました。
卵型を使った画像もありましたが、出典は今のところわかりません。
「盤古の里」河南省南陽市桐柏県 盤古大神観瞻処があります。
神話読み解く交流シンポ 河南省で中日が「文化移植」討論 2020-01-22
中国社会科学院日本研究所と南陽師範学院が共催する「中日人文対話――神話と伝説に関する国際シンポジウム」がこのほど、河南省南陽市にある同学院で開かれた。両国から集まった60人余りの専門家と学者が、中日の神話や伝説、文化、両国の文化・学術交流などの分野を巡って活発な討論を繰り広げた。
中国国際放送 China Radio International (CRI)のサイトに、盤古の像の画像がありました。
Пань-ґу(盤古)
場所はわかりませんが・・・
盤古神話(アメブロ)にさらにくっきりした像が・・・
中国で卵生神話を有するの民族は、古代長江流域の氏族や西南地方の民族です。
盤古神話の起源は古代苗族の「天地開闢神話」と考えられています。
中国での宇宙論は、前漢(紀元前206年 〜8年)末以来、「天円地方説を受け継ぐ「蓋天説」のほかに、天は球形であるとする「渾天説」と、宇宙は無限であるとする「宣夜説」(あまり発展せず衰退)という三種の論が並立した(科学史ミニ講義②)」そうです。
ウィキ 盤古から
天地を押し上げて分離させる点がマオリ神話のタネ・マフタに、体からさまざまなものが創造される点がインド神話のプルシャに類似していることなど[1]が指摘されてるほか、インドシナ半島の神話伝説にも盤古神話と類似した内容のものが確認されている。天地万物のつくられ方の類似から、インドに伝わる『リグ・ヴェーダ』の原始巨人プルシャが伝播したものだ、という学説もある。
現在の中国でも、「渾天説(宇宙卵)」系の盤古神話について、いろいろ議論がかわされているようです。
盤古神話:盤古是個「洋和尚」? MPヘッドライン 2021年03月29日記事
盤古が地元の僧侶であろうと外国の僧侶であろうと、確定できる考古学的証拠がない限り、真実を見つけることは今では困難です。著者は、現在のデータに関する限り、盤古は人々や南部の人々の間で口頭で伝えられてきた先住民の創造神話である可能性があると考えていますが、仏教が東に広まった後、インドの創造神話によってある程度、そして最終的に地元の盤古の伝説と組み合わされました。統合の下で、盤古の新しい創造神話が形成され、それは三国の徐鄭によって完成され、記録されました。
中国の南部・・・「盤古文化エコツーリズム景区」というキャッチフレーズにも遭遇し・・・卵が2つに割れたリアルな彫刻も!
卵的楕円ではなく円形です。左が凹(雌型)、右が凸(雄型)になっています。
海口市の北、広西チワン族自治区
「来賓盤古文化生態旅遊景区」Xingbin District, Laibin, Guangxi, 中国
なお、中国の情報を検索するときは、Googleより百度(バイドゥ)を利用するのがよろしいようで・・・たとえばキーワード「盘古神像」としてみると、これは切がありません・・・
盤古関連の画像はごついものが多いですが、かわいい卵的画像と記事の一部を転写します。
今天,我们跟随贵州省民族古籍专家库专家胡廷夺,以及李榕屏先生一起,重新认识开天辟地的盘古。看看盘古是怎么从一颗蛋里蹦出来的。
今日は、貴州省の古代民族書の専門家である胡ティンドゥオと李栄平氏をフォローして、世界のパイオニアであるパングを再理解します。パングがどのように卵から飛び出したかをご覧ください。
貴州省南東部の青水川と平公山地域のミャオ族が歌う古代の歌。内容の1つは次のとおりです。
古代には、土地も花も木も人もいませんでした。しかし、Xiuxianと呼ばれる獣がいます。この神聖な獣は「シェンシェンダン」と呼ばれる卵を持っています。シェンシェンの卵には背の高い赤ちゃん盤古がいます。盤古が生まれたとき、彼は卵を蹴って蹴り、卵殻は同じサイズの2枚の花びらに割れました。
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