EUの宇宙卵
「宇宙卵」といえば・・・1974年発行の「胡桃の中の世界:澁澤龍彦:青土社」の中の「宇宙卵について」を思い出しました。
ピエロ・デラ・フランチェスカの最後の作品「モンテフェルトロ家の祭壇画(ミラノ プレラ美術館)を眺めると、幼児キリストを膝にのせて合掌している美しい聖母の頭上に、貝殻の形をした天盖の壁龕から、一本の糸で吊られた白い駝鳥の卵が、厳密なシンメトリーを保って垂れ下がっているのに私たちは気がっつくであろう。この卵の呼ぴ起す神秘的な感情は、譬えようもない。宙に浮かんでいるー点の卵は、明らかに聖母と等価の神聖な物体であって、ピエロの何よりも好む還近法によって表象された世界の調和は、ことごとく、この卵の中から放射されているのではなかろうか、という感じをいだかしめるに十分なのである。
その112ページに掲載された画像は、残念ながら白黒でぼやけています。
そこで、今日日、インターネットの利便さを利用して・・・検索しますと、オールカラー(古いかな)の画像を掲載した日本語のサイトが数点ヒットします。
オールカラーの画像は「https://taesunworld.com/piero/」から拝借しました。
さて、一番奥に貝殻装飾は万物の創造のシンボルであり、そこにつるされた卵はダチョウの卵という説があります。
当時、ダチョウの卵は受精を必要とせずに孵化するという動物説話があり、マリアがイエスを聖霊により身ごもったことを表しているというのです。またこの絵が墓廟の祭壇画であることを考えると、卵はイエスの復活のシンボルであるとも考えられます。