インドの宇宙卵

宇宙を呑む―アジアの宇宙大巨神の系譜 (万物照応劇場) 杉浦 康平 著 出版1999講談社

「宇宙卵」といえば・・・1999年発行の「宇宙を呑む:杉浦康平:講談社」の中の「梵天の卵から三界世界が創造された・・・」を思い出しました。

そこには図⑱として「金色の宇宙卵」の絵が紹介されています。

あらゆる存在の根源をなす根本原理(ブラクリティ)に包まれて誕生する。インド細密画・パソリー派・18世紀

この絵は、本書では残念ながら白黒です。そこで、今日日、インターネットの利便さを利用して検索すると・・金色の原画を見ることができます。

ウィキの「ヒラニヤガルバ – Hiranyagarbha」という項目に掲載されています。サンスクリット語で「黄金の胎」または「黄金の卵」とのこと。

Golden Universe Egg H Pahari Painting Manak’s Iranya Garba, c. 1740.

描いたのはインド人のManaku of Guler(グラーのマナク)という画家。アマゾンに「Manaku of Guler: The Life and Work of Another Great Indian Painter from a Small Hill State ハードカバー – 2018/5/11英語版 B. N. Goswamy (著)」という本もありました。

ウィキにも「グラーのマナク」と、画家の紹介があります。

グラーのマナクまたはマナク(1700〜1760年頃)は、現代のヒマーチャルプラデーシュ州のガラー州出身のインド人画家でした。彼の死後、彼はほとんど忘れられ、彼の非常に有名な弟のNainsukhによって影が薄くなりました。しかし今日、彼は兄のように、パハリ様式の絵画の指数として認識されています。マナクの再発見は、BNゴスワミーのような美術史家による研究努力の結果でした。

Nainsukhのように、Manakuは彼の作品に署名することはほとんどなく、現存する4つの作品だけが彼の署名を持っています。

インドの創世神話のひとつとして登場したもので、「宇宙卵」を「ブラフマーンダ(ブラフマー、つまり梵天の卵)」と呼んでいて、このマナクの絵はその「ブラフマーンダ」を描いたもののようです。

ともあれ、ヒラニヤガルバ、ブラフマーンダ・・・インドの「宇宙卵」の呼び名はいろいろあり、ヴェーダの宗教(バラモン教)、ヒンドゥー教、ジャイナ教、仏教・・・と宗教と哲学が入り混じり、インドの「宇宙卵」は「スクランブル・エッグ」でもありますね。

さて、インターネットで検索するには「サンスクリットの〈ブラフマーンダbrahmāṇḍa→Brahmanda〉が良いようです。Brahmanda(画像検索)で、たくさんの卵が出現します!!・・・これらは別のページで特集してみます。

紀元前500年前後の数百年間に成立したとされるヒンドゥー教の聖典ウパニシャッドは200ほどあるそうです。その代表格である次のウパニシャッドに「宇宙卵」が述べられているそうです。

チャーンドーギヤ・ウパニシャッド(梵: छान्दोग्योपनिषत् chāndogya-upaniṣad)3.19.1-4」

この世界の始まりには非有しかなかった。非有があった。非有は成長して卵になった。卵は1年のあいだ置かれていた。卵は2つに割れた。割れた2つの殻の一方は銀に、もう一方は金になった。銀に変わったほうが大地である。金に変わったほうが空である。外側の膜であったものが山である。内側の膜であったものが雲と霧である。(卵の黄身についていた)筋が川である。その中の液体であったものが海である。さて、たまごから生まれたものこそかの太陽である。

(「千の顔をもつ英雄 下巻 ジョゼフ・キャンベル 著1949 平田 武靖 訳 浅輪 幸夫 訳」から引用 本サイト関連

 

さらに、確実なのが、ヒンドゥー教テキスト№18「Brahmanda Prana」(ウィキ)という分類?

サンスクリット語の原テキスト
どの文字が「卵」かはわかりませんm(_ _)m

By Ms Sarah Welch – Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=73934930

ヒンドゥー教経典写本は「ヤシの葉に書かれた写本(Palm leaf manuscript)」もあるそうです→「地球ことば村・貝葉写本」に詳しい。

つづく・・・